otrthopedic test

整形外科テスト

SLR
ここでは整形外科テストを一つ一つ考えて行きます。偽陽性の可能性や陽性の場合の対処方法を考えていきたいと思います。zx67

まずは有名なSLR(Straight Leg Raise) テストです。Lasegueテストとも呼ばれますが、ここではSLRとします。
テストの方法
患者を背臥位にして,膝伸展位に置き,検者は患者が痛みを訴えるまで下肢を挙上する。

70°:L5,S1,S2神経根が完全に伸張される。70°での下肢後面の痺れのみ、坐骨神経障害の可能性が示される。

70°以降:腰部あるいは仙腸関節に起因する。 70°以降では順番で言えば、仙腸関節、腰尖部、と上行していくわけだ。

痺れや痛みが発生しない状態では、SLRテストとしては陰性になるわけだが、テストをすることにより、大腿後面のはりうを訴える場合、そのはりが感じられる角度が問題である。45度にも見たない角度ではりを訴える場合、臨床的にはかなりの問題があるであろう。
SLRの操作で、ハムストリング筋の緊張を見る場合、注意しなければならないことは、
膝関節を伸展位に保つ。
股関節内旋、外旋を一定にする。内線維より内側ハムストリング筋、外線維より外側ハムストリング筋によりストレッチがかかるからである。
SLRで下肢を挙上する場合、ハムストリング筋の伸長、股関節屈曲のロッキング、仙腸関節の動き、仙腸関節のロッキング、S1とL5の間の椎間関節屈曲、L5とL4、L4とL3、L3とL2、L2とL1の椎間関節屈曲ということになるのでしょう。

それでは、SLR陽性を改善する方法です。L5,S1,2神経根への刺激による坐骨神経障害は、そう簡単には変わらないでしょう。椎間板、骨変形、硬膜緊張その他適切なアプローチを行うしかありません。

同様に、椎間関節症や仙腸関節捻挫などで炎症がある場合、大したことはできません。

ハムストリング筋nの過緊張への対処法はたくさんあります。椎間関節症や仙腸関節捻挫でも、SLRではハムストリング筋が骨盤を回旋させ仙腸関節、椎間関節を動かすわけなので、ハムストリング筋の緊張度を低下させれば、SLRの角度は変化する可能性は大きいわけです。

ハムストリング筋の過緊張に対するアプローチは

下部腰椎、仙骨のズレ
大腿四頭筋の弱化
近位橈尺関節のズレ
膀胱経


Kemp test ケンプ テスト

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立位で手で同側の大腿後面に接触させながら下方に滑らせる。
テストの陽性は、腰部と同側下肢への放散痛は、内側ヘルニア、腰部と対側下肢への放散痛は外側ヘルニアを示す。また椎間関節症においても腰部と下肢への痛みが起こる。

ケンプテストは、ヘルニアあるいは椎間関節症で陽性となる。ヘルニアに対する治療は、それほど簡単ではない。しかし、椎間関節症の場合は、メカにクスを考えれば対処法はいくらでもある。左側に陽性が出る場合、左側の腰椎が伸展、左側屈、棘突起左回旋が起こることにより患部に痛みが出るということである。この場合、痛みは椎間関節への圧迫により起こっている。要するに椎間関節への圧迫が少なくなるようにすればいいのだ。

まず上部腰椎、下部胸椎の伸展運動が正常に起こるかチェックする。更に、この部位の棘突起左回旋制限、左側屈制限があるかチャックする。検査の結果制限のある動きを回復する。右腹筋や肋間筋、左大腿四頭筋、大腿筋膜張筋の過緊張、左足の回内足、左股関節内旋の検査と治療である。

ケンプテストで下肢に痺れが出る場合、腸腰靭帯の関与やすべり症なども忘れてはならない。


アドソン テスト

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患者の頭を検査側に向け,患者の上腕を他動的に僅かな伸展位、外旋位に保ちながら,頭を伸展する。さらに検者は患者の橈骨動脈の脈拍を触診しながら、患者に深呼吸をさせ,それを保持させる。
脈拍が消失した場合,テストは陽性である。

アドソンテストは、前斜角筋、と中斜角筋の間で鎖骨下動脈が狭窄されている状態を検査している。

テストの陽性では、これらの筋が過緊張あるいは短縮している状態です。これらの筋が過緊張をしている場合、これらの筋に直接アプローチすることはなるべく避けたい。これは、鎖骨下動脈だけではなく、腕神経叢、停止部には脊髄神経が近くにあるため、力を加えてはならないところでもあります。それでは、斜角筋が過緊張、短縮を起す原因を考えましょう。斜角筋は、頚椎と胸郭をつなぐ筋で、頚椎の回旋、胸郭の回旋は短縮や過緊張に関連することになります。特に胸郭の回旋は、その原因として一般的です。体幹のねじれ、特に右でテスト陽性の場合は、体幹の右回旋への変位を改善することで、斜角筋過緊張の改善が得られることがあります。
その他、骨盤のねじれ、腹筋、横隔膜、第2、3中手骨などの変位や異常のチェックと修正を行うべきです。もちろん頚椎前方変位の修正も行うべきでしょう。