Cranial Nerves Examination

脳神経検査

Ⅰ.嗅神経
Ⅱ.視神経
Ⅲ.動眼神経
Ⅳ.滑車神経
Ⅴ.三叉神経
Ⅵ.外転神経
Ⅶ.顔面神経
Ⅷ.聴神経
Ⅸ.舌咽神経
Ⅹ.迷走神経
ⅩⅠ.副神経
ⅩⅡ.舌下神

Ⅰ 嗅神経 Olfactory Nerve

コーヒー、ミントなど比較的においがあり、容易に認識、判別可能な検体を使用する。
一側の鼻ロを指で圧迫して閉塞させる。対側の鼻孔に検体を近づけ,その臭いを感ずるか否かをたずねる.臭いが分る場合,何の臭いであるかを問う.
対側も同様な方法で試験し,左右を比較することが大切である.
テストは、数日後繰り返し検査するべきである。神経疾患による障害の場合、同じ結果が得られる。

Ⅱ 視神経 Optic Nerve

視力
視力が著しく悪いときには,眼前の指数を数えることができるかどうか試験する.
眼前30cmで指の数が分るときにはn.d.30とする.n.d.はnumerous digitorum(指数)の略で,分読最大距離(cm)で視力をあらわす.
きらに視力が悪いときには眼前で手を動かし, それが分るか否かを聞く.

視野
対座試験conformation test.
患者と向き合って座る.患者の眼と検者の眼との間隔が約80cmになるようにする.患者の一方の眼を手でおおわせる.患者にみえる方の眼で検者の相対する眼を注目するように指示する.ついで検者は両手の示指を垂直に立て前外方に自分の視野一杯に拡げ、患者と検者との中央に置く.
検者は指を動かし,左右どちらか動いている方を指差すように指示する.この方法により眼の中心より耳側,鼻側、上下の視野を知ることができる.
試験中,患者の眼球が動かないように,常に注意する.
眼鏡検査

Ⅲ動眼神経、Ⅳ滑車神経、Ⅵ外転神経

 
眼瞼の観察
眼瞼下垂:真っ直ぐ前方をみさせて,左右の眼裂を比較する.
上眼瞼の下端が瞳孔にかかっているかどうか観察する.一側のみ上眼瞼の下垂が瞳孔にかかっていれば,その側に眼瞼下垂がある.両側の眼瞼下垂もあるので注意する.
眼球陥没などでも眼瞼下垂がなくても眼裂は小さくなる.
逆に眼球突出や,顔面神経麻痺があると,障害側の眼裂は開大する.

ホルネル症候群(Horner syndrome)(交感神経麻痺側の眼瞼下垂,縮瞳,無汗症.眼球陥没は実際よりも顕著である.障害された瞳孔は光を暗くするとかなりゆっくり散瞳する.頚部交感神経連鎖またはその中枢経路の障害による).

眼球の観察
眼球の突出、陥没
斜視:一側が正面の目標を見ているときに,他側が内側にずれているのを内斜視、外側にずれているのを外斜視とよぶ.
両側の眼球が一方をみつめるようになっている.(眼球共同偏位)
自発性眼振の有無
瞳孔の観察
大きさはどうか,左右が同じかどうか,形が正円かどうかをみる.必要があれば眼前に物差しをあて瞳孔の直径を測るとよい.
正常:2.5?4mm
2mm以下;縮瞳
5mm以上;散瞳
大人の瞳孔は子供より小さい.また老年になるにしたがって小さくなる.高血圧症では年齢と関係なくしばしば縮小している。
左右の大きさの異なるものを瞳孔不同というが,これは動眼神経麻痺,頚部交感神経麻痺、神経梅毒などでみられる.

瞳孔に関する反射
対光反封LightReflex,Light Reaction
調節反射 Accomodation Reflexおよび輻輳反射 convergence Reflexes
毛様体脊髄反射Ciliospinal reflex

対光反射
患者に部屋の一番遠いところをみるように命ずる.ペンライトの光を患者の視野の外から,敏速に視野に入れる.
直接対光反対または,直接瞳孔反応
光を入れた瞳孔の収縮
間接瞳孔反応または共感性対光反射、共感性瞳孔反応
反対側の瞳孔の収縮
正常では瞳孔の収縮は速やかである.瞳孔の収縮がみられないものや遅いものは異常である.

 

調節反射および輻輳反射

患者に遠方をみさせ,瞳孔の大きさを観察しておく.
次に患者の眉間から10-20cmぐらい前のところにおいた検者の指または鉛筆を,素早くみつめるように指示し,瞳孔の大きさの変化を観察する.
眼前20cmぐらいで指または鉛筆の先をみつめさせ,それを次第に眼に近づけてゆくと眼球は左右とも中心に寄り(輻輳),いわゆる「より目」となり(内転した角膜内縁は上下の涙点を結ぶ線まで達する),瞳孔は縮小する.これが輻輳反射である.近い物体を見る時の瞳孔の収縮には調節反射と輻輳反射とが関係しているので瞳孔の近見反射ともよぶ.

毛様体脊髄反射

疼痛刺激に対して瞳孔が散大するかどうかをみる.すなわち頸や胸や上肢を,ピンや針で刺激したり,つねったりすると両側に1-2mmの散瞳が起こる.明るいところでは,反射が出にくいので,眼を多少遮光して観察する.本反射は疼痛刺激で起こるので,意識障害時の検査にも用いられ,脳幹障害の程度を知るために重要である.
眼球運動
眼前50-60cmに検者の指または視標となるものをおき,その先をみつめきせ,ゆっくりと左右,上下に動かす,このとき頭を動かさずに眼だけで追うようにと指示する.
眼球の運動は,まず左右への動きをみることから始め、次に上下の動きを検査する。
内側:内直筋
外側:外直筋
上方:上直筋と下斜筋
下方:下直筋と上斜筋
眼筋の機能試験法は、まず患者と向き合い,検者の示指先端をみつめさせ,眼球の左右への動きをみて,内,外直筋の作用をみる.
つぎに右または左を注目させ,その位置で指を上下に動かして,眼球の動きをみる.このときの眼球運動と眼筋(上・下直筋、上・下斜筋)との関係を検査する。

衝動性眼球運動
眼の高さの2点の視標をすばやく交互に注視させる。
眼の上下の2点の視標をすばやく交互に注視させる。

眼球運動観察の要点
両眼に運動制限はないか.
水平眼球運動.
垂直眼球運動
上方視の場合には黒目の下に,必ず白目が認められる.程度は異なる.
下方視では眼瞼をあげてみると正常では角膜上縁は内外眼角を結ぶ線まで達している.
両眼は左右同じように,共同して動くのが正常である.
いずれかの方向に複視(単一の物体が2個の物体に見える状態)が出るか.
指標を動かしたときに,眼球の追跡は正常では滑動性である.動きが滑らかでなければ衝動性とし、異常とみなす.
左右への眼の動きは,共同性であっても,一側が違うともあるので注意する.たとえば右方注視に比較し,左方注視が遅いときには,左方に潜在性の注視障害がある.
側方注視時にはovershootやundershootなど,眼球運動の測定異常があるかどうかに注意する.これは小脳障害の症侯である.

指標を追跡する眼球運動
滑動追従運動:動く指標を追う眼球運動で,比較的遅く滑らかで,連続的な動き.
衝動性眼球運動:視点の急速な変化に伴う瞬間的,急速な眼球運動
滑動追従運動は眼球運動に関係している種々の機構がの障害が考えられる.
衝動性眼球運動が障害されると,眼前の2点間を交互に素早くみることができない
衝動性眼球運動のみが選択的に消失する場合、障害部位は脳幹、脊髄、小脳変性症などでみられる.
眼振眼球運動を試験するときに同時に眼振が起こるかどうかを観察する.すなわち眼で指先を追うように指示し,左右,上下に眼球が約30°回転するようにさせると眼振の有無を観察することができる.正中位でも物を注視させると眼振を起こすこともある.
極端に側方を向かせ,極位にすると,2、3回一過性の振動をきたすが,間もなく止まる.これを極位眼振というが,診断的意義はあまりない.
眼振をみるときは5-6秒じっとみつめさせ,運動の持続を確認する.
眼振は,その方向,振幅の大きさ、頻度をみる.このうち急速な動きを眼振の方向とする.
眼振出現時に物が揺れてみえる,すなわち動揺視を伴うことが多い.

眼振の方向:
水平性眼振:最も多い
垂直性眼振,回旋性眼振:比較的少ない
動きかた:
律動性眼振:一方向にゆっくりと,逆方向に急激に動くもので、診断的に重要である.
振子様眼振:両方向に等しい速度で動くものは先天性眼振に多く見られる.
このような注視眼振の試験は,一般に両眼視で行うが,ときには片眼で試験してはじめて明らかな眼振を認めることもある.これはいわゆる潜伏眼振とよばれるものであり,先天性眼振の一種である.つまり一眼をかくして,他眼で左右を注視させると外転方向に急速相をもつ眼振があらわれることがある.

視運動性眼振
長い帯状の布に一定間隔にしるしをつけたもの,または巻尺を用いる.たてに縞模様のついた円筒を作り,これを回転させるのがもっともよい.
このような目標の1点を眼前50cmぐらいのところでみつめさせ,これを水平に左または右に動かすと眼振が起こる.
正常では目標の動いた方向には眼球はゆっくり運動し,急速にもとにもどる.つまり回転と反対方向に急速相をもつ眼振が起こる.これを眼振の解発という.この急速相が視運動性眼振OKNの眼振方向優位性である.
視運動性眼振(OKN)の解発には網膜,視神経,外側膝状体,視放線の機能がある程度保たれていること,後頭棄(area17,18,19),前頭葉(Area8),脳幹の眼球運動中枢の機能が保持されていることが必要である.
a)大脳障害では,障害側と反対方向へのOKNの解発が抑制され,眼振は障害側に優位となる.
b)脳橋の障害では,障害側と同じ方向へのOKNの解発が抑制され,眼振は健側は優位となる.OKNが左右等しいかどうかをみる.一方向にOKNが起こらない,あるいは左右の眼振に差があるようであれば、詳しいテストが必要である.

Ⅴ 三叉神経 Trigeminal Nerve

 

感覚検査
主に顔面の感覚(痛覚,触覚,温度覚)を試験する.三叉神経は3つの枝に分かれており,その各々につき左右の感覚を比較する.3分枝の末梢性支配は,顔面の皮膚と同時に,各枝の分布する粘膜領域をも調べる必要がある.
触覚は分るが温痛覚が障害され,いわゆる感覚解離を示せば,三叉神経脊髄路および核での障害を考える.

角膜反対corneal reflex
脱脂綿の先を細くするか,ティシューをよじって、検者は自分の指を示して,患者にこれを注視させ、視線を一方にずらし,その反対側から,角膜の部分を軽く刺激する.
正常では両眼が迅速に閉じる.
角膜反射が両側でやや減弱しているときにはあまり病的意味がなく,一方を刺激したときのみ反射が減弱しているとか,全く消失しているのが重要な所見である.
角膜反射の求心路は三叉神経で,遠心路は顔面神経である.本反射の中枢は橋にある.したがって三叉神経第1枝が麻痺すれば,この反射は両側性に減弱ないし消失する.
顔面神経障害で眼輪筋が麻痺すると,開眼が起こらないのでその側の角膜反射は消失するが,反対側の眼には正常な反射が起こるので,反対側の反応も注意すべきである.
昏睡や,脳幹の障害では本反射は両側性に消失する.
運動機能の試験
患者に奥歯をしっかりかみ合わせるように指示して,両側の咬筋と側頭筋を触診する.筋の収縮が起こらないとか,収縮が一側のみ明らかに弱いといった,著しい筋力の低下時には,この方法で判定できる.

Ⅶ 顔面神経 Facial Nerve

 

顔つき
まず顔が対象的であるかどうかをみる.
全く異常がないようにみえても,患者と話しているとき, 患者が笑うときの口つきを観察し,一側の口角の動きが,他側にくらべて遅いかどうかに気をつける.
正常な人でも,顔は多少とも左右非対象を示すものであるから,軽い変化は, 軽率に麻痺と判定するべきではない.

運動機能の試験
顔筋のテストは前頭筋,眼輪筋などの上顔面筋と,口輪筋,広頸筋などの下顔面筋に分ける.
上眼面筋
前頭筋を試験するには,額にしわがよるかどうかをみる.これには患者に眉を上にあげるように命じ,それができないときには検者の指をみつめさせ,上方をにらむようにさせる.末梢性の顔面神経麻痺では,障害側にしわがよらない.
次に眼を閉じさせる. 著明な麻痺があれば眼瞼を閉じ合わせることができない.すなわち障害側の眼を完全に閉じることができず,ベル現象により上転した眼の球結膜が白くみえる.
眼が閉じられるときにはまつげに注意する.眼輪筋のカが十分保たれているときには,強く閉眼させるとまつげはほほ完全に埋められて,外からは僅かにその先端をみるにすぎない.眼輪筋の収縮が不十分なときには,その側のまつげが外からよくみえる.これは軽い顔面神経麻痺を見出すのに有用である.
眼を閉じることができるなら,つぎにはできるだけ強く眼を閉じるように指示しておいて,検者の指でこれを開け,その収縮力を左右で比較する.

運動機能の試験
下顔面筋
上下歯を噛み合わせておいてできるだけ口を開き歯を出させる.下顔面筋の障害があると,口角は健側に引っぱられ,障害側開ロは不十分で,鼻唇溝は明らかに浅くなる.
頬をふくらませてみると,障害側ではふくらまない.また検者の指先でふくらんだ頬を押すと障害側の口角からは空気がもれる.
舌咽,迷走神経の障害で.軟口蓋に麻痺があるときには,頬をふくらませることはできないが,鼻をつまむとふくらませることができるようになる.
口笛を吹かせたり,唇音である「バビプベポ」を発音きせると,下顔面筋の障害があるときにはうまく発音できない.
広頸筋の収縮は,口を「へ」の字に強くまげさせると,その収縮がよくみえる.あるいは検者の手を患者の下顎にあて,これを上方に押しあげながらこれに抵抗して首を前屈するように指示すると,やはり広頸筋の収縮が分る.
これを左右比較すると障害側では収縮が低下しているのが分かる.一側性に広頸筋の収縮が欠如するのを広頸筋兆候陽性とし,顔面神経麻痺の一所見である.
障書側では,食物が頬と歯の間にたまりやすいので,こういうことがあるかどうかも開いておくべきである.

味覚試験
患者に舌を出させて,少量の砂糖, 塩、クエン酸およびキニーネをつぎつぎに綿棒またはガーゼの一部につけて,塗る.一方甘い,からい,酸っぱい,苦いと書いた紙片をその反応に応じて示すよう指示する.これを舌の前2/3で行い,左右を比較する.
眼輪筋反射
眼輪筋を叩打して、その収縮をみる.検者の母指と示指で患者の外眼角の外側の皮膚をつまみ,すこし後方に引っぱって,眼輪筋に軽い伸張を与える.検者の母指をハンマーで軽く叩打し、眼輪筋に急激な伸張を加える.眼輪筋は反射的に同側が収縮し,対側も軽度ながら収縮する.

眉間反射
眉間をハンマーで軽く叩くと,正常では両側眼輪筋の収縮をみる. ハンマーは患者の眼より高く保持して,患者にみせないようにする.末梢性顔面神経麻痺では障害側の反射は低下し,中枢性顔面神経麻痺ではむしろ亢進する.すなわち両側の反射の強さを比較することが必要である.この反射はバーキンソン症侯群や神経質な人では亢進する.何度くり返してもよくこの反射が出るのをマイアーソン兆候という.

口輪筋反射
上口唇を叩くか,または口角に指をあてて軽く叩き,口輪の収縮をみる.正常では乳児以外は,この反射はきわめて微弱か欠如している.顔面神経核以上の錘体路障害のときにはこの反射は亢進する.

ベル現象
閉眼を命ずると,眼球は上転し,軽度に外転する.これをベル現象という.眼輪筋麻痺では,眼裂が閉じないので,ベル現象をみることがきる.麻痺が軽いときには,眼裂に白い球結膜のみがみえる.
ベル現象は随意的閉眼で正常者の90%に認められるが,閉眼で眼球が下転することもある.すなわちベル現象の逆転 inverse Bell phenomenonも起こりうる.

Ⅷ 聴神経 Acoustic Nerve

 

聴力検査
検査には音叉を用いる.C音叉は低音を,Fis4音叉は高音を検査するのに用いる.
患者に音叉の音が聞こえなくなったらすぐ知らせるように者示し,その後,検者の耳にあてて聞こえるようなら患者には難聴があることになる.
C音叉で短縮が著明であれば,伝音性難聴
Fis4音叉で短縮が明らかであれば神経性難聴

リンネ試験
振動させた音叉を乳様突起の上におき,骨よりの振動音が消えたあと音叉をはずして耳孔4-5cmのところにおく.なお振動が聞こえるかどうかを検査する.
正常では気導による聴力は骨伝導より長く続くためにこの検査で聞こえるわけである.しかし中耳障害および外耳道の閉塞の場合は気導による振動が低下するため,耳孔にもっていっても音は開こえない.

ウェーバー試験
振動させた音叉を頭頂部の中央にあて、振動が左右の耳のどちらに強く響くかを聞く.
正常の場合には両側同じようにひびくが,中耳および外耳道に障害があると障害側に大きく聞こえる.迷路およびそれより求心性の神経系に障害があると健側に大きく聞こえる.

耳鳴
低調音で,鈍いうなりのような耳鳴は伝音系の障害
高調音で,鈴や笛の音のように聞こえるものは神経性障害
前庭機能検査
温度試験は,冷水は30℃,温水は44℃のものを用いる.あらかじめ患者の鼓膜が健全であることを確かめておく.
約20mlの冷水、温水を注射器で外耳に10秒間で注入する.
正常
冷水では注入側の対側に向かう眼振
温水では注入側に向かう眼振
左右いずれかの反応が欠如していれば,その側に前庭神経障害があると考えられる

Ⅸ舌咽神経/Ⅹ迷走神経 Glossopbaryngeal and Vagus Nerves

 

軟口蓋,咽頭の観察
患者にロを開けさせて「アーアー」といわせ、軟口蓋や口蓋垂の偏位および咽頭後壁の収縮の状態をみる.
一側の麻痺では口蓋縫線,口蓋垂は健側に偏位し,健側の軟口蓋弓のみ挙上する.
咽頭後壁の筋(上咽頭収縮筋)が一側で障害されている場合には,健側のみ収縮するため、咽頭後壁は健側の方にやや斜め上に引っぱられているようにみえる.これは,カーテンが一側に引っぱられるのによく似ているのでカーテン徴候という.
両側の麻痺があると,「アー」といわせても口蓋垂は全くあがらない.

催吐反射
舌圧子で咽頭後壁,偏桃部、舌根部などに触れると,正常では咽頭筋は速やかに収縮し, 吐気が誘発される.
この反射の求心路は舌咽神経、遠心路は迷走神経、中枢、延髄である. この反射は左右を検査し, 一方が欠如していことで病的意味がある.

軟口蓋反射
軟口蓋を舌圧子などで刺激すると,軟口蓋の挙上,口蓋垂の後退が起こる.この反射は刺激側で強く起こる.反射中枢は延髄で求心路は?,??,遠心路は?とされている. 反射の一側性の消失は病的意義がある.

嚥下
水をのみ込めるかどうか, 鼻に逆流するかどうか聞く.
のみ込めないときには鼻をつまんでみる.こうしたことでのみ込めるようになる場合、軟口蓋の両側性の麻痺がある

ⅩⅠ副神経 Accessory Nerve

 

上部僧帽筋の試験
胸鎖乳突筋の試験

ⅩⅡ舌下神経 Hypoglossal Nerve

 

舌筋の制御
舌を真っ直ぐに出すように指示し,舌に萎縮、線維性収縮があるかどうかをみる.萎縮側にはしわが見られる。舌を全く外に出すことができない場合,両側麻痺である.
舌を前方につき出させ,明らかに偏位していれば,偏位側が障害側である.ごく軽度な偏位は正常でもみられる.偏位が疑わしいときは,鼻をなめるようなつもりで舌を上に上げさせると,舌下面の線が偏位するので判定しやすい.
舌先で頬を押すように命じ,検者はこれを外方から指で触れてその左右の強さを比較し,判断する.
障害側に押すカの方が,健側に押す力より強い.