生体力学
ここでは、より臨床的なバイオメカにクスについて考えていきます。
頚椎 カップリングモーション
頚椎の回旋 頚椎の回旋は、単純な回旋ではなく、側屈、時には伸展が起こる。頚椎の関節面は前方 に向かって上方に傾斜している。頚部筋の抑制が正常に起こる場合、 頚椎左回旋 では、右椎間関節では、上位の下関節突起は、前方、そして、傾斜に沿って上方 に動く。骨だけを考えれば、頚椎回旋時には側屈が起こることになります。これをカップリングモーションといいます。頚椎の純粋な回旋、純粋な側屈はありえないのです。
回旋に側屈が伴うことは理解されたと思うが、これは骨だけで何の抵抗もない状態でのことです。それでは、頚部筋に過緊張がある場合はどうでしょう。頚部筋の過緊張は頚椎縦軸に圧迫をくわえることになるため、回旋時に起こるべき上方への動き が制限されます。側屈が起こらない状態では、回旋運動はわずかです。頚部の回 旋では、C1-C2の間で50%以上の回旋起こる。C2?C7までの各椎間関節の状態は、あまり 大きな影響はないでしょう。しかし、C1-C2間の動きが制限されている場合、C2?C7での代償的な回 旋が大きくなります。特に、椎間関節の傾斜は、下部にいくほど大きくなるため 、下部での回旋運動は少なくなります。 側屈が制限されている場合、回旋は起こらず、頚椎の伸展運動が起こることになり、繰り返す伸展運動は椎間関節前面の靭帯 を伸長することになわけです。
頚部筋緊張によつ頚椎への縦聞く方向への圧迫、後頭下筋緊張による上部頚椎の回旋制限、非常によくみるパターンです。
このような状態では、伸展を伴う頚椎、特に中部頚椎の矯正は禁忌になります。
これで、中部頚椎椎間関節症の治療は、明白だと思います。
ミリタリーネック/ストレートネック
ミリタリーネック、ストレートネックは、頚椎の前彎がなくなり、真っ直ぐあるいは僅かな後方にカーブしている状態を言います。これは、レントゲンの側方像で診られます。これは、中部頚椎の可動性亢進、上部、下部頚椎の可動性制限を示していることがあります。要するに、頚椎は顆可動性になっている状態です。カップリングモーションのところで説明したような状態で、中部頚椎の可動性が亢進している状態です。レントゲン像では、頚椎の前弯がなくなりまっすぐになっていることからミリタリーネックあるいはストレートネックと呼ばれますが、これは、レントゲン像とは逆に頚椎が過前弯である可能性が高くなります。特にレントゲンの患者が目の前で背中を丸くして座っているような場合、レントゲンではなく、患者を見るべきです。それでは、なぜレントゲン写真には、まっすぐあるいは逆にカーブした頚椎が写っているのでしょうか?1つの可能性としては、レントゲンを写すときのレントゲン技師の指示です。頚椎のレントゲンフィルムは縦に長く、この中にうまく頚椎全体を収めようとします。この状態で、患者があごを引かせたり、首を曲げさせたりすると、頚椎のカーブはまっすぐになるかあるいは逆のカーブになります。特に逆のカーブになる場合は、上部頚椎と下部頚椎の屈曲制限、更に中部頚椎が可動性亢進、きわめて不安定な状態にあるケースでは、上部、下部頚椎の代わりに中部頚椎のみ屈曲を起すからです。マッケンジーエクササイズというものはご存知でしょうか?このテクニックは、患者の症状の変化を基に適切なエクササイズにより治療しようとするものですが、その中でレントゲン像などは、それを写した時の、その患者の一瞬の状態を捉えただけであると考えているようです。レントゲンを脊柱のカーブの評価ために100%の精度として使用するのはあまりにも危険であると思われます。例えば、長時間立って仕事をしてる時に腰痛が起こる女性患者では、症状に関連する腰椎の機能的な異常やカーブの変化を検査するためには、立位で腰椎のレントゲンを撮らなければなりません。更にその女性がハイヒールを履いている場合、ハイヒールを履いた状態でレントゲンを撮らなければなりません。レントゲンは骨や一部の軟組織の病理的なものを評価するのには欠かせないものですが、脊柱の機能的な障害の検出のためには、気をつけなければならないこともあるということになります。患者が整形外科でレントゲンを撮ってもらったら首のカーブがなくなってまっすぐになっているといわれたと訴え、座っている患者は背中を丸くしてあごが上がっているように座っているなら?このような中部頚椎可動性亢進の可能性を考えるべきです。中部頚椎がこのような状態ですと中部頚椎の関節炎、神経障害が併発する可動性が高くなります。
上部下部頚椎屈曲制限、中部頚椎可動性亢進で屈曲、あごを引かせた状態
こんな姿勢の患者が首がまっすぐだといわれた????
レントゲンにたよらず、しっかりモーションパルペーションしましょう?
骨盤の変位
骨盤の変位に関係する筋
骨盤の変位は、仙腸関節にフィクセーションが無い場合、筋の緊張度、トーヌス
のバランスに影響を受けます。これは、立位におけるものです。
骨盤を前方に回旋させる筋
大腿直筋
縫工筋
恥骨筋 内転筋
大腿筋膜張筋
腸骨筋
骨盤を後方に回旋させる筋
大臀筋
腹直筋
ハムストリング筋
骨盤、腸骨を外方に引く筋
中殿筋、大腿筋膜張筋
骨盤、腸骨を内方に引く筋
腸骨筋
腰方形筋
内腹斜筋
これらの筋は、立位での作用です。立位での症状が発生、悪化する場合で、仙腸
関節が可動性亢進のケースでこれらの筋が関与を考えてみてください。勿論、立
位での触診を忘れずに!
横隔膜
横隔膜 横隔膜は、胸腔と腹腔とを隔てるドーム状の筋構造です。通常、生まれてから死 ぬまで休むことなく、収縮と弛緩を繰り返します。この収縮は、2段階の異なる作 用があります。横隔膜のドーム構造の中心は、中心腱という腱であり、この外周の筋線維に続いています。この筋線維が収縮すると、初めに腱中心が下方に引き下げられます。下方への動きは、腹腔内圧、横隔膜下の臓器による抵抗で止められ ます。次の段階は、腱中心が固定され、更に筋線維が収縮すると、胸郭下部の肋 骨が挙上されます。胸郭はその形状から挙上されると前後と側方に拡張します。 このように横隔膜は、二段階の異なる呼吸、吸気運動を起こします。しかし、こ の2つの運動が等しく起こるとはかぎりません。
例えば、何らかの原因で中心腱の 下方への動きが、著しく制限される場合、身体機能に必要な量の酸素を吸引する ために、第二段階の胸郭下部の挙上が過剰になります。 考えられる第一段階の制限は、横隔膜下の臓器、特に肝臓のうっ滞や肥大、肝硬 変などが考えられます。腹腔内圧の上昇は、腹筋の過緊張によるもとすると、腹横筋、腹斜筋、腹直筋全てが過緊張の状態でなければなりません。臨床ではこの様なケースはあまり見られるけとはありません。 第二段階の制限、胸郭、特に下部の制限が大きい場合、腱中心の下方への動きが 、過剰になります。過剰な下方へのスラストは腹腔内の臓器を繰り返し下方に押 すことになります。休むことなく繰り返されることで、臓器は下垂することにな ります。特に、胃、横行結腸、小腸などが影響を受けると考えられます。臨床で 見られるこの様な状態は、胸腰部が後方に彎曲し、腹筋上部の過緊張、更に腹筋 下部は弛緩した状態です。胸椎後彎の増加、腹筋上部の過緊張は、胸郭拡張を制 限します。これらは、更に横隔膜の第一段階の下方への動きを増加させることに なります。
腱中心の過剰な下方へのスラストによる影響。
上のような身体のひずみは、AKでは小脳機能障害と関連するといわれています。
このようなタイプの人は、小脳機能障害を起しやすく。腰痛を起しやすくなると言われています。どうやら、抗重力筋の問題みたいです。