Visceral

内臓

ここで示すものは、内臓の機能的な問題、病理的な問題ではなく、機能的な異常を考慮し、その機能異常が筋骨格系に及ぼす影響を理解して、治療に役立てるためのものです。決して内臓の病気を治すというものではありません。

消化器系
内臓の機能的な相互関係を理解することで筋骨格系への影響、食事制限、効果的なサプリメントなどが明らかになり、多角的な治療が可能になります。

内臓は、単体で働くのではなく、互いに影響し合っています。システムとして捕らえていくことがより重要になります。

消化器系は
口腔
口狭
咽頭
唾液腺
食道

膵臓
肝臓(胆嚢)
小腸
大腸
内臓へのアプローチは、基本的に以下の要素を考えて生きます。
自律神経系
血液、リンパ循環
各種反射
経絡
構造
生化学

それではまず口腔唾液腺などを考え、消化の始まりは、咀嚼運動とそれに伴う唾液の分泌からです。


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唾液腺

1.耳下腺
動脈:浅側頭動脈および顎動脈の枝
静脈:下顎後静脈に注ぐ耳下腺静脈、顔面静脈に注ぐ顔面静脈耳下腺枝
神経:
交感神経;頚部上交感神経節、T1,2
副交感神経;舌咽神経分泌線維の小錘体神経として耳神経節に至り、耳介側頭神経の耳下腺枝として耳下腺にいたる。

2.顎下腺
動脈:顔面動脈および舌動脈の枝
静脈:動脈に伴う
神経:
交感神経;頚部上交感神経節、T1,2
副交感神経;顔面神経を通り鼓索神経を経て舌神経、顎下神経節を経て腺に入る。

3.舌下腺
動脈:舌動脈からの舌下動脈、顔面動脈からのおとがい動脈
静脈:動脈に伴う
リンパ管;顎下リンパ節に入る。
神経:
交感神経;頚部交上感神経節、T1,2
副交感神経;顔面神経を通り鼓索神経を経て舌神経、顎下神経節を経て腺に入る。
唾液腺は唾液アミラーゼを分泌し、pH6.6?6.8のという条件下で、でんぷん、グリコーゲンをマルトースとグルコシド、マルトトリオースに分解する。

舌腺からは、舌リパーゼが分泌され、pH3.0?6.0でトリグリセロールを脂肪酸とジアシルグリセロールに分解する。舌りパーゼは胃内で活性化され、トリグリセリドの30%を消化する。

咀嚼数が少なく。舌リパーゼ分泌が少ない場合、脂肪分解過程で、胃を初めとし、これ以降のシステムに負荷をかけることになる。更に咀嚼により食塊が十分に細かく砕かれていないと、唾液腺や舌腺の酵素と混ざり合う割合、が少なくなるため、酵素による反応の促進がおきにくくなるわけです。
消化器系の問題を持つ人は、まず第一に十分な咀嚼運動(一口30回)を行うように指導するべきです。
マニピュレーションでできることは、TMJに対するテクニックになります。たくさんの咀嚼運動を行うことにより顎関節の症状がおきてしまってはいけません。顎関節、咀嚼筋、頚部の筋、上部頚椎、頭蓋の状態をチェックして、治しておく必要があるかもしれません。


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交感神経に対するアプローチは、T6?9,10これら該当レベルに問題がある場合、矯正します。なければ次をチェックします。
副交感神経:迷走神経
Bennett反射:剣状突起と臍の1/4のポイントです。
Chapman反射:胃の鬱血:第6肋間胸骨左側T6,7横突起間、胃酸過剰:第5肋間胸骨左側T5,6横突起間です。触診や筋力テストにより判断することも可能ですが、問診により関与を明確にしておく必要があります。

経絡:東洋医学的な関与を考慮する場合、脈診、脊柱では胃経(T12-L1)、脾経(T11,12)をチェックしましょう。
Vasomotor Reflex:T3?6SP
迷走神経へのアプローチは迷走神経の走行を考慮し、頭蓋、頚椎、胸郭をチェックします。異常があったら修正を加えます。

ここで注意です。自律神経系のバランスをとるなど良く耳にしますが、自律神経のバランスを簡単な刺激により一次的に変化させることは可能かもしれませんが、治療に取り込むべきは、自律神経の正常な機能を妨げているものを取り除くことです。妨げているものが見つからなければ、治療はできません。