Cranial

頭蓋

craniallateral
頭蓋骨のマニピュレーションって?

頭蓋骨って動くの?
動きます。ただし、縫合は加齢に伴い骨化する場合があるので、その程度にもよりますが、この場合動きは減少します。頭蓋骨の動きは目に見えるようなうな動きではありません。
頭蓋骨が動くということは、頭蓋骨は1つの骨ではなく、縫合により連結され、その縫合は、僅かではありますが、柔軟性を持つ結合組織であるということと、骨そのものも一部の頭蓋骨は非常に薄い骨組織であること生体での骨の柔軟性などによっても、その可能性を否定することはできないでしょう。

頭蓋骨にマニピュレーションを加える意味は?
頭蓋骨のテクニックを練習し始めることでも気付く点があると思いますが、頭蓋骨を触診することによって、患者がしびれの軽減や悪化を訴えることがあります。少なくとも頭蓋を触診しているだけで、末梢神経の状態に関連があるということです。直接的には、最近言われている、硬膜からの脳脊髄液の漏れによえり頭痛が起こるといわれていることからも、硬膜の状態、その中の脳脊髄液の増減による頭蓋内圧の変化は、頭痛につながるということです。
その他にも適用はたくさんありますが、末梢神経障害に対する治療の一部、一部の頭痛などの症状に有効であるということです。

頭蓋骨二マニピュレーションを加えると小顔になるの?
個人的には考えられません。頭蓋骨にマニピュレーションを加える目的は、あくまで症状緩和のための治療の一部として使用します。形成的な目的で使用する場合はありません。頭蓋骨へのマニピュレーションにより頭蓋骨の形態が変わるほどの力を加えることは非常に危険です。

頭蓋にマニピュレーションを加える場合、細心の注意が必要です。十分な解剖生理の理解、触診技術の習得の後、効果的なマニピュレーションが可能になります。

頭蓋骨の動き

頭蓋骨は全体的にこんな感じで動きます。動きというよりは圧力が変わるといった方が良いでしょう。

頭蓋拡張期:屈曲、矢状面での収縮、冠状面での拡張

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頭蓋収縮期:伸展、矢状面での拡張、冠状面での収縮

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CSFとは
脳脊髄液(cerebrospinal fluid?CSF)

脳脊髄液とはくも膜下腔を満たす液体であり、これは頭蓋骨のテクニックを行う上でその動きの基となります。

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組成
無色透明
Na(ナトリウム、148mEq/L)
K(カリウム2.88mEq/L)
Cl(塩素、120?130mEq/L)
ブドウ糖(50?75mg/100ml)
HCO3(重炭酸、22.9mEq/L)
PHは7.3
生成
脈路叢,クモ膜下腔内部の血管でつくられる。
脳脊髄液は、1分間に0.3?0.4mlの割合でつくられる。
約6時間ごとに全体が入れかわる。
脳脊髄液の産生は脳室,クモ膜下腹,体循環の血圧とは関係がない。

循環
脈絡叢→側脳室→室間孔→第三脳室→第三脳室→中脳水道→第四脳室→正中口と外側口→くも膜下腔→静脈洞のくも膜顆粒

吸収
脳脊髄液は、静脈血中に吸収される。特に、上矢状静脈洞と外側裂孔のクモ膜下腔から静脈洞内に突出するクモ膜顆粒を経て静脈血中に吸収される。
脳脊髄液は、脳室の上衣組織、脊髄軟膜の毛細血血管、更には末梢神経に接するリンパ管からも吸収される。
吸収の速さはCSFの圧力(髄液圧いわゆる脳圧)に直接依存する。

機能
リンパ系に替わって細胞外液を排出し,中枢神経系の恒常性を保つ。骨との間に介在して脳を保護する。

髄膜
髄膜:
軟膜:最内層にある膜で脳に密着している。脳溝の深部まで入り込み薄いが血管を多く含んでいる。
クモ膜:中間層の薄い膜で、クモの巣状である。軟膜との間にクモ膜下腔という狭い空間を隔てている。軟膜と異なり,脳各部がつくる陥凹部をこえて覆うために,クモ膜下腔の拡張部?クモ膜下槽(脳槽)ができる。
硬膜:最外層の強靭な膜で内外2層からなる。
外板:骨膜層は頭蓋骨内面の骨膜である。
内板:髄膜層は頭蓋腔に面する。(2層が明瞭に分かれるのは,硬膜静脈洞という空間をはさむ部分などだけで、大部分では一枚の厚い膜として頭蓋腔を内張りしている)。
硬膜による頭蓋内の構造

大脳鎌
左右大脳半球の間の大脳縦裂に入り込んで,頭蓋腔上部を左右に分ける。

付着:前端;鶏冠及び盲孔。
上縁:前頭稜から矢状縫合に沿って内後頭隆起に至る。上矢状静脈洞を含む。
下縁:自由縁,中に下矢状静脈洞を含む。
後下縁:小脳テント上面と癒着する。

小脳鎌
大脳鎌よりはるかに小さく左右の小脳半球の間に入り,前縁は自由縁になる。

付着:内後頭稜に沿って内後頭隆起から大後頭孔後縁に至る。この付着縁の中に後頭静脈洞を含む。
小脳テント
後頭蓋窩上方にテントを張ったように,大脳と小脳の間に水平に広がる。

付着:外側縁;内後頭隆起から錐体上縁に沿って後床突起に至る。横静脈洞、上錐体静脈洞上面は正中線上で大脳鎌下縁と癒着、直静脈洞を含む。前内側縁は,前に開いたU字型の自由縁?テント切痕をつくり,ここを橋、中脳蓋(脳幹)などが通る。
鞍隔膜
小脳テントの前端に続き,トルコ鞍のフタ(蓋)をつくる。下方に下垂体を覆う。

付着:前・中・後床突起。ほぼ中央に下垂体柄(漏斗)が通る孔がある

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頭蓋障害はなぜ起こる?
頭蓋のテクニックというと、何かすごく効果があり、何でも治ると感じてしまうかたも少なくないのではないでしょうか?それは、たまには、自分が思いもしなかった効果があることもあります。しかし、これは頭蓋だけとは限りません。他の部位でも同じです。勿論、頭蓋は他の部位と異なり、構造も複雑で、頭部だけではなく、硬膜を介して全身の神経系に影響することもあります。しかし、外力が加わることで頭蓋の歪みが起ることは、確実です。それでは、どのような力が頭蓋に加わるのか考えてみましょう。
まず、頭蓋を支えている環椎です。更に、頭蓋に付着する筋です。環椎の傾きや回旋は、左右の後頭顆に不均等な力を加えることになります。例えば、右の後頭顆が左よりも強い力加わる場合、蝶形後頭結合で起こる屈曲は、右側が大きくなります。これは拡張期、頭蓋が環状面でその径を増加させます。これは、右側の側頭部は、左側よりも膨らむということです。この力は側頭骨鱗部を外方に、頭頂骨上外方に押すことになります。頭蓋の骨の連動から考えれば、このようになりますが、実際にはこんなに単純ではありませんが、確実に左右不均等な力が加わります。
次は、頭蓋に付着する筋による力です。これは、筋の収縮そのもの、あるいは関節を介して加わる力があります。簡単な例を挙げれば、僧帽筋と胸鎖乳突筋です。僧帽筋は、後頭骨の上項線内則に付着し、外側には胸鎖乳突筋が付着しています。上項線の頭蓋内側には、横静脈洞が走っています。頭蓋内の静脈洞は、硬膜の内板と外板からなります。ここには、硬膜の内板が重なってできる小脳テントが付着しています。小脳テントは、大脳鎌、小脳鎌と共に頭蓋の拡張運動に抵抗力を加える主な構造です。この構造に加わる力の変化は、頭蓋の動きに対する抵抗の変化になります。この変化は、当然頭蓋の動きそのものも変化します。 もう1つの大きな影響を与える力は、咬合運動です。虫歯、癖、その理由に拘わらず片側でばかり物を噛む場合、同側の上顎骨は、上方に変位することになります。この力は前頭突起や篩骨、頬骨を介して、前頭骨の拡張、屈曲の動きを制限することになります。片側でばかり物を噛む場合、更に筋の過緊張が起ります。特に側頭筋の過緊張は、頭頂骨、側頭骨などの動きも制限します。

頭蓋障害は、さまざまな外力による頭蓋の動きの制限により起こります。これらの制限は、頭蓋骨を通過する神経、血管、硬膜の異常緊張による脊髄神経への影響など起します。


各頭蓋骨の動き
蝶形骨

蝶形骨は前方で前頭骨、篩骨、後方で後頭骨や側頭骨、下方では鋤骨、口蓋骨、外方では、頭頂骨、側頭骨、前頭骨、頬骨などと結合しています。頭蓋骨の動きで、最も重要視されている部分が蝶形骨と後頭骨の結合です。この部位は大まかに右の図のような動きを起します。左の赤の矢印が頭蓋内圧が上昇したときの動きになります。蝶形骨到底結合は上昇し、蝶形骨全体は前方に回旋するような動きを起します。蝶形骨大翼は外方に押されます。

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このような蝶形骨の動きは、結合している周りの各頭蓋骨に影響します。これは頭蓋骨の分離骨の縫合部分をみていくとその動きがどのようなものかわかります。

どのように影響するかは次回説明いたします。