アプライドキネシオロジー NL神経リンパ反射

5ivf-NL

栗原D.C.が専門誌に投稿した記事です。

前回から、AKの基本的なアプローチである椎間孔5つの因子について説明している。椎間孔5つの因子は、N:Nserve神経、NL:NeuroLymphatic Reflex神経リンパ反射、NV:NeuroVascular Reflex神経血管反射、CSF:CerebroSpinal Fluid脳脊髄液、AMC:Acupuncture Meridian Conector 経絡である。これらは筋機能異常を起こす可能性のある代表的な因子であり、前回はこれらの1つ目の因子である神経支配について説明した。今回は、2つ目の因子NL:NeuroLymphatic Reflexについて説明する。NLは元来、チャップマン反射として、オステオパシーでFrank Chapman,D.O.が開発したものである。チャップマン反射では、身体表面(皮下)のチャップマン反射ポイントは各臓器のリンパ循環の改善を目的として使用されている。AKではこのチャップマン反射のポイントが各筋の機能障害に関与することが発見され、椎間孔5つの因子として使用されている。反射ポイントは、主に体幹と四肢の近位部に存在し、通常前面と後面に同じ関連を持つ反射ポイントが存在する。反射ポイントは、活性化すると触診により皮下にこねたパン生地のような柔らかさの硬結を触れることができる。しかし、通常このような触診による活性化ポイントの認識は前面のポイントにみられ、後面、特に脊柱に沿うポイントの触知は困難である。反射ポイントの活性化が長期にわたったり、重篤な状態の場合、触診では、こねたパン生地のような状態から硬く、小さく、平らな小豆のような結節が皮下に分散して触知できる。このようなものが触知できる場合でも、それが必ずリンパ反射の活性化したものであるとは限らない、硬結の位置の深さ、触知する部位の構造を理解し、筋紡錘、経穴、脂肪腫、瘢痕組織などとの鑑別が必要である。これは実際にNLポイントとして刺激を加えた後、筋力テストによる筋機能の変化が起こるかどうか判断することを繰り返し行い経験をつむことで、触知による判別が可能な場合もある。反射ポイントはAKの中でTLと呼ばれる方法でその関与を確認することができる。TLとは患者自身に検査する部位に触れさせた状態で筋力テストでの筋機能の変化を観察する検査法である。反射ポイントの刺激は円運動の押圧を加えることで行う。AK勉強会では、“右回りですか?左回りですか?”という質問を受けることがある。チャップマン反射では特に触れられていないと思うが、チャップマン反射の反射ポイントが活性化されている皮下組織は、前述のようにこねたパン生地のように触知される。これはチャップマン反射では、これはLymphoid Tissue(リンパ組織)あるいはFluid(液)といわれている。そして、チャップマン反射ポイント刺激することで、このリンパ液の循環が改善されるといわれている。時折耳にする右回り、左回りと言うようなものは、この場合当てはまらないということである。刺激を加えるということであり、これは電磁波や胎生時に起こる内蔵の捻転と関連するものではない。すなわち、右回り、左回りではなくランダムに刺激を加えることが望ましい。これはどのような方法でも良いということではない。重要なことは、皮下のリンパ組織、あるいは滞留したリンパ液が触れられる部分で、これらが拡散するように円運動の押圧を加えるということである。刺激を加えながら触診を行い判断するということである。触知できない部位は、筋力テストの反応で弱化評価する方法も可能である。次にNL反射ポイントへの押圧は、どのくらい加えれば良いのかと言うことである。AKでは、NL反射の使用以来、初期には比較的軽い押圧を加えていた。しかし、時には強い押圧を比較的長い時間加える必要があるケースもあるといわれている。強い刺激を加える場合、NL反射ポイントは時に圧痛を伴うため、過剰な刺激は患者に不快感を与えてしまう。更には刺激ポイント周囲の筋の緊張を引き起こしリンパ液の拡散、循環を妨げることになる。このため過剰な力を加え刺激するべきではない。

臨床ではNL反射の活性化が多数のポイントに存在するケースが頻繁に観察される。このような場合、全身のリンパ循環の改善を目的とした治療を併用する必要がある。適度な運動、水分摂取、リンパ循環の改善を目的としたテクニックの適用などである。

NL反射に対するアプローチは、一見単純に思えるが、その理論的な背景を考慮することでより効果的なアプローチが可能なる。NL反射を更に詳しく勉強したい方は、チャップマン反射の文献あるいはセミナなどでさらに理解を深めていただきたい。次回は血管反射について説明する。