アプライドキネシオロジー NV神経血管反射

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栗原D.C.が専門誌に投稿した記事です。

今回も引き続き、AKの基本的なアプローチである椎間孔5つの因子について説明する。椎間孔5つの因子は、神経、神経リンパ反射、神経血管反射、脳脊髄液、経絡の中の3つ目の因子である神経血管反射について説明する。血管反射はTerrence J. Bennett.D.C.により開発されたBennett反射から由来するものである。AKテクニックに取り入れられた筋機能改善のための治療法である。

反射ポイントには1分間に70?80回の拍動が触知できる。Bennettは、この拍動は胎児期の心臓が形成される以前の血液循環を行う拍動であるとされ、これはその後も小動脈や毛細管そのものの拍動として存在すると述べている。

この拍動を触診し、認識するためにはある程度、触診を繰り返し練習する必要がある。拍動を感じ取るためには皮膚に接触を行うが、この接触は非常に軽いものである。強く接触する場合、拍動の触知は困難になる。一秒よりも若干早い周期で起こる拍動を認識するが、拍動の振幅はさほど大きいものではない。勉強会受講生からは、自分の指の拍動との区別が付かないと言う声が聞かれるが、この場合、皮膚ではなく机などに接触し、同様の拍動が感じられるか比較することができる。その状態でも指先に拍動が認識される場合、指先に感じられる拍動でろう。また、同時に対側の手で橈骨動脈の脈を取りそのリズムを比較し、同期しているようであれば、指先そのものの拍動である可能性が高くなるといえるだろう。

血管反射ポイントの刺激による効果は 筋力テストの結果の変化により確認することもできる。拍動が触知できるようになれば、神経血管反射ポイントを刺激することが可能になる。刺激方法は、非常に軽くポイントに接触し拍動が感じられるまで接触し、拍動が感じられた状態で皮膚を軽く拍動が感じられなくなる方向に引く。この状態を保持し、拍動が感じられるまで接触と皮膚の伸長を保持する。拍動が感じられた後、約20秒間接触を保持する。刺激後は、神経血管反射の活性化により弱化を起こしている筋に筋力テストによる改善が見られる。

神経血管反射も、神経リンパ反射同様、本来各臓器の血液循環を改善するために開発されたものであり、Bennettはさまざまな臨床実験により、これらの反射ポイントを見出した。Bennett反射の反射ポイントは全身に特に身体の前面に集中している。AKは、これらのポイントを筋の機能異常に対する関連を発見することにより、システムの中に取り入れたのである。AKで使用される神経血管反射は、ほとんどのものが頭部に集中している。このためであるかは不明であるが、個人的な臨床経験では、頭部に問題のある患者(頭蓋障害、精神的なストレス、TMJ、緊張性頭痛など)に活性化する傾向にあると感じている。

AKフローチャートマニュアルの著者であるDvid Leaf,D.C.は血管反射ポイントの刺激方法は、タッピングによっても可能であると述べている。Bennettによる刺激方法は、拍動の触知が必要であり、触診に慣れる必要がある。このため安易にタッピングを使用するものもあるが、個人的には本来の刺激方法による刺激方法が最も効果的であると考えている。血管反射の刺激は、本来の刺激方法を使用していただきたい。しかし、TL不可能な部位の血管反射(例えば、膝関節内側の膝窩筋の血管反射ポイント)にチャレンジを加えて、筋力テストの変化を評価するケースでタッピングによるチャレンジを使用する場合は、素早くその反応を評価するという意味で有益である。

AKは、筋力テストに影響を与えるテクニックや筋機能障害に有効なテクニックを積極的に取り入れている。AKを学んでいるものは、AKの各テクニックを表面的に理解するだけではなく、起源となるテクニックを理解することで、より深くAKを理解することができるであろう。これらの文献は、日本語に翻訳されていないものも多くあることが残念であるが、機会があれば翻訳ができればと思っている。次回は、引き続き椎間孔5つの因子の4つ目の因子CSF脳脊髄液について述べたいと思う。