アプライドキネシオロジー CSF 脳脊髄液

5ivf-CSF

栗原D.C.が過去の専門誌に投稿した記事です。

今回は椎間孔5つの因子の4番目の因子であるCSF脳脊髄液について説明する。脳脊髄液とは、くも膜下腔を満たす無色透明の液体でナトリウム、カリウム、塩素、ブドウ糖、重炭酸などを含む液体である。その機能は、リンパ系に替わって細胞外液を排出し,中枢神経系の恒常性の維持と骨との間に介在することによる脳の保護である。脳脊髄液は脈路叢で、1分間に0.3?0.4mlの割合でつくられ,約6時間ごとに全体が入れかわる。脳脊髄液は、主に側脳室の脈絡叢から分泌され、室間孔を通って第三脳室へ流れ,第三脳室から中脳水道を経て第四脳室へむかう。第四脳室からは,CSFは第四脳室正中口と外側口を抜けてくも膜下腔に達し、静脈洞にあるくも膜顆粒で吸収される。一部の脳脊髄液は、末梢神経終末部にまで達し、末梢組織のリンパ循環に流れ込む。このため、脳脊髄液の循環障害は中枢神経系だけではなく末梢神経にも影響することになる。

脳脊髄液の循環には、くも膜下腔の外側の構造に硬膜の付着がある頭蓋骨と仙骨の動きが重要になる。特に頭蓋骨は、2層で構成される硬膜の外板が頭蓋骨内側面の骨膜であるため、その動きは、脳脊髄液を受け入れる硬膜の状態に直接影響を与えることになる。

頭蓋仙骨部の障害は、CSF循環影響すると考えられるが、頭蓋仙骨部の障害は、更に硬膜を介して脊髄神経や脳神経などに影響するとも考えられる。硬膜の異常緊張は、これらの神経の外膜に移行、融合する硬膜袖に異常緊張を加える可能性もある。神経外膜への異常緊張は、神経機能障害を起こす可能性があり、この神経が支配する筋の機能異常を誘発する可能性がある。

アプライド キネシオロジーでは脳脊髄液の循環へのアプローチとして頭蓋、仙骨、上部頚椎へのアプローチを行う。頭蓋の動きには、脳脊髄液の分泌と吸収による内圧の変化か起こるものと、呼吸運動に同調して起こるものがある。アプライド キネシオロジーの頭蓋骨へのアプローチは、呼吸運動に伴う頭蓋骨の動きである。アプライド キネシオロジーでは、頭蓋内圧の変化による頭蓋骨の動きは、呼吸運動に伴う頭蓋骨の動きにより増強されていると考えられているため、呼吸運動による頭蓋骨の動きの障害を修正することを重要視している。アプライド キネシオロジーの頭蓋骨のテクニックは、多数ありこのテクニックの習得も容易ではない。TLやチャレンジなどを使用して障害を判断するが、その修正には頭蓋骨の動きを触知する必要がある。勉強会などで、“どのくらいの強さで押せばよいのですか?”という質問を受けるが、これは患者によっても異なり、同じ患者でも頭蓋の接触部分、調整目的によりその圧力は異なる。調整のための最も適切な力は頭蓋骨の動き、さらに押圧による変化を感じ取ることである。頭蓋骨の動きは非常に繊細であるため、触診の練習が必要である。勿論、解剖学的な知識は必須条件である。頭蓋骨の動きには個人差があり、年齢や性別などによっても異なる。このため様々なタイプの頭蓋の動きを触診するべきである。

椎間孔5つの因子の中で筋機能障害への関与をテストするためのスクリーニングテストは、呼吸期の保持によるものである。筋の弱化が存在する場合、CSFの関与を検査するためには、患者に最大吸気、あるは最大呼気をとらせた状態を保持させ、弱化の改善を検査する。それぞれの呼吸期での反応により、適切な頭蓋骨テクニックを加える。頭蓋障害が繰り返される場合、アプライド キネシオロジーでは亜鉛欠乏の存在をテストする。更に頭蓋障害が繰り返される場合、他の部位の障害からの影響を考慮しなければならない。

AKでは、頭蓋骨のメカニズムは、顎口腔システムといわれるシステムに含まれている。このシステムに含まれているその他の構造は、脊柱、骨盤、顎関節とその筋群、舌骨筋群である。これらの構造は相互関係があり、一部に障害がある場合他の部位の障害の存在も考慮しなければならない。例えば、顎関節の問題がある場合、頭蓋骨の障害がある可能性があり。更に、ロベットリアクターの関連でもある仙腸関節を構成する骨盤部に問題があるケースもある。頭蓋骨の各テクニックの詳細は、別の機会に説明する。