栄養学
ビタミン
ビタミンA βカロチン
消化には、脂肪、胆汁、ミネラルが必要である。
肝臓に貯蓄でき、毎日補給する必要はない。
2つのタイプ:レチノール(動物性)、カロチン(プロビタミン効果が少ない)
皮膚、上皮細胞を保護し、粘膜の腺分泌を正常に維持する。
ロドプシン生成に不可欠
欠乏症:夜盲症、眼球乾燥症、上皮の角質化
多く含む食物:魚の肝油、レバー、ニンジン、緑黄色野菜、卵、牛乳
1.牛の腎臓の脂からのビタミンAは夜盲症に効果的であるが、腎臓の問題には効果的ではない。
2.皮膚のかゆみは、ビタミンAの必要性を示す。
3.ビタミンAはFと共に胆汁の粘度を低下させる(レシチン)。
ビタミンB1 チアミン
水溶性ビタミンなので毎日摂取する必要がある。
B群のビタミンは、相助作用がある。B1、2、3はバランスよく摂取する。?神経組織に良い影響を与えるため“神経ビタミン”と呼ばれることがある。
生体内の糖質の燃焼に必要
欠乏症:神経炎、神経痛、脚気
多く含む食物:乾燥酵母(ビール酵母)、ピーナッツ、豚肉、ぬか
あさり、はまぐり、ワラビ、ゼンマイなどにはB1破壊酵素aneurinaseが含まれる。
ビタミンB2 リボフラビン
過酸化脂肪を破壊する酵素グルタチオンペルオキシダーゼの補酵素
健康な皮膚、爪、髪をつくる。
口腔内、唇、舌の炎症をやわらげる。
紫外線とアルカリにより破壊される
欠乏症:口角炎、舌炎、結膜炎
多く含む食物:牛乳、レバー、ビール酵母、卵、チーズ、緑黄色野菜
ビタミンB3 ニコチン酸 ナイアシン
糖質、脂質、クレブス回路中の反応、グルタミン酸の脱アミノ化に関与
必須アミノ酸のトリプトファンが十分な場合、体内で合成される。
神経膠細胞の栄養代謝に関与する。
メニエル症候群や胃腸障害に効果が認められる。
欠乏症:ペラグラ
多く含む食物:レバー、赤身の肉、ビール酵母、小麦胚芽、卵、アボガド、プルーン、イチジク
ビタミンB5 パントテン酸
副腎の正常な機能に不可欠
体内でシステインとATPからCoAを生成する。糖質脂質代謝に重要
腸管の細菌叢により生成されるので欠乏しにくい。
欠乏症:倦怠感、食欲不振、四肢のしびれ、足の灼熱感
他のB群と関連性が深く、ペラグラ、脚気、B2欠乏症患者には血中B5低下 を示すものが多い。
多く含む食物:肉、小麦胚芽、レバー、緑色野菜、ビール酵母
ビタミンB6 ピリドキサン
腸管の細菌叢により合成されるので欠乏しにくい。
タンパク質、脂肪代謝に関与
抗体、赤血球の生成に不可欠
体内で血清かのピリドキサールリン酸になるためには、B2が必要
B2欠乏は二次的にB6の欠乏症を誘発する。
欠乏症:皮膚炎、神経炎、貧血
多く含む食物:ビール酵母、小麦胚芽、レバー、キャベツ、牛乳、卵
葉酸
プリン、ピリミジン、メチオニン、セリン、ヒスチジン、トリプトファンなど の生成に関与
赤血球の生成に不可欠
腸内細菌叢により合成されるので欠乏しにくい。
ビタミンCの多量摂取により葉酸は体外に排出される。
欠乏症:貧血
多く含む食物:ニンジン、レバー、かぼちゃ、アボガド、緑色野菜
ビタミンB12
葉酸と共に核酸代謝に需要な役割を演じ、アミノ酸代謝や糖代謝に関与する。?赤血球の生成に不可欠
神経系統の健康に不可欠
動物性食品に含まれるため、ベジタリアンに不足する傾向がある。
欠乏症:悪性貧血
多く含む食品:レバー、ビール酵母、牛肉、豚肉、卵、牛乳、チーズ
イノシトール
Lipotropic Factorとして有効、血中コレステロールとリン脂質の比を調整する。?糖尿病、その他の疾患に伴う血中コレステロールの上昇を抑え、遊離脂肪酸を減少させる。
コリン
中性脂肪の過剰な蓄積を防ぎ、肝臓でリン脂質合成を助ける。
アセチルコリンを合成し、神経系の刺激の伝達を円滑にする。
イノシトールとコリンはレシチンを合成する。
レシチンは胆汁の粘度を下げる。
PABAパラアミノ安息香酸
葉酸の合成を助け、パントテン酸の吸収を助ける。
ビオチン
腸管内の細菌叢によって合成されるので欠乏しにくい。
卵黄から分離された酵母発育因子であり、卵白に存在するアビジンがバイオチンと結合して吸収障害を起こす。
欠乏症:湿疹、舌炎
多く含む食物:ビール酵母、レバー、卵黄
ビタミンC
生体内の酸化還元機構に関与、アドレナリンの酸化防御、
フェニルアラニン、チロシンの代謝に関与
コラーゲンの生成に重要
副腎皮質ホルモンの生成に関与
鉄の吸収を助ける
歯肉の出血を予防する
傷の回復を早める
抗ヒスタミン作用
抗炎症作用
欠乏症:壊血病、骨や歯の脆弱化
多く含む食物:柑橘類、イチゴ、ピーマン、トマト、ブロッコリー、
カリフラワー、ジャガイモ、さつまいも
大量に摂取することで腎結石を生じることがある。Mgをと共に摂取する。
ビタミンC複合体
ビタミンP(バイオフラボノイド;血管を健康に保つ)
ビタミンK、J因子(酸素運搬能力を増加させる)
チロシナーゼ(チロシン→ドーパミン、エロネフリン、ノルエピネフリン)
アスコルビン酸(ビタミンC複合体の中の抗酸化剤、強い身体の酸化作用を 持つ)
免疫機能低下による慢性的な感染症はアスコルビン酸の大量投与が必要
500mg以上のビタミンCの投与は、ビタミンAの投与が必要になる。
ビタミンD
紫外線によってビタミンD作用を現すプロビタミン
植物油来D2
動物性由来D3
小腸上皮でCa代謝を促進する。Ca吸収量増加はリン酸の吸収量を増加させ ることになる。
腎臓の尿細管に作用し、リン酸やアミノ酸の再吸収を増加し、尿中への排泄を低下させる。
欠乏症:くる病、骨軟化症
多く含む食物:魚の肝油、乳製品、卵黄
ビタミンE α、β、γ、δトコフェロール
抗酸化剤、不飽和脂肪酸やビタミンAなどの2二重結合を持つ化合物の酸化を 防止する。
セレニウムと共に摂取されることより効果的である。
血行改善
鉄はビタミンEの作用を極端に悪化させる。
欠乏症:貧血、生理障害
多く含む食物:小麦胚芽、大豆、ブロッコリー、芽キャベツ、卵、ほうれん草、植物油
ビタミンK
腸管内の細菌によって合成されるため、欠乏しにくい。
血液凝固に関与するプロトロンビンの形成に不可欠
多く含む食物:ヨーグルト、アルファルファ、卵黄、紅花油、大豆油、
魚の肝油
ビタミンP バイオフラボノイド
毛細血管の透過性を抑制し、毛細管抵抗を亢進させる効果がある。
結合組織を健康に保つ作用
ビタミンCの酸化を防ぎ、消化に不可欠
多く含む食物:レモン、オレンジ、チェリー、あんず
ミネラル
カルシウム
神経筋機能と骨や歯の形成に不可欠
ビタミンD、パラトルモン、カルシトニンにより吸収される。
欠乏症:くる病、骨軟化症
多く含む食品:乳製品、豆類、魚類、緑黄色野菜
塩素
血液の酸とアルカリのバランスを保つ
肝機能を促進し、老廃物を除去する
胃液の成分となる
多く含む食物:食卓塩、海草、オリーブ
クロム
インシュリンと協力して糖の代謝を行う
欠乏症:糖尿病
多く含む食物:鳥肉、はまぐり、あさり、黒砂糖
コバルト
ビタミンB12の一部を構成する。
赤血球に不可欠
多く含む食物:肉、レバー、牛乳、かき、はまぐり、あさり
銅
体内の鉄をヘモグロビンに変える。
ビタミンCの活用に必要不可欠
フッ素
水道水に加えられているので1日に1mg程度は摂取している。
骨や歯を強くする作用
多く含まれる食物:魚介類、ゼラチン
ヨード
体内のヨードの70%は甲状腺にある。次に卵巣
欠乏:甲状腺機能障害
多く含む食物:海草類、魚介類
鉄
ヘモグロビン、ミオグロビン
体内では、フェリチンというタンパク質に結合した形で貯蓄される。
鉄の吸収には、銅、コバルト、マンガン、ビタミンCが必要
欠乏症:貧血
多く含む食物:レバー、赤みの肉、卵黄、かき、アスパラガス
マンガン
甲状腺ホルモン、チロシンの合成に必要
骨を強固にするために必要
中枢神経系正常に機能する上で重要
筋肉の反射作用を助ける
多く含む食物:緑黄色野菜、卵黄、豆乳、ナッツ類
リン
リンが適切に作用するためにはビタミンDとCaが必要
Ca:P=2:1
正常な骨と歯の形成に必要
脂肪と糖代謝を助ける
多く含む食物:魚、牛乳、卵、ナッツ類
カリウム
Naと共に働き、体内の水のバランスと心拍のリズムを正常に保つ。
激しい下痢は、Kを減少させる。
低K症状:不整脈、心臓の拡張と収縮力の弱化、
降圧作用
多く含む食物:柑橘類、クレソン、緑黄色野菜、バナナ、ジャガイモ、リンゴ
マグネシウム
Ca、P、Na、K、ビタミンCの代謝に必要
神経と筋が効果的に働くのに不可欠
糖をエネルギーに変換する行程で重要な役割を果たす。
組織、血管壁へのCa沈着を防ぎ、腎臓結石、胆石を防止する。
多く含む食物:ほうれん草、イチジク、レモン、グレープフルーツ、リンゴ、とうもろこし、アルファルファ
セレニウム
抗酸化剤、酸化によって生じる老化、組織の硬化を防ぐ
多く含む食物:小麦胚芽、小麦のふすま(ブラン)、タマネギ、トマト、レバー、ブロッコリー、バター、牛乳、にんにく
ナトリウム
Naの過剰摂取は、Kの不足を生じる。体液バランス
神経と筋の正常な機能を助ける。
多く含む食物:食卓塩、ニンジン、ベーコン、海草
硫黄
健康な皮膚、髪、爪に必要不可欠
多く含まれる食物:牛肉、豆類、魚、キャベツ、卵
亜鉛
前立腺を正常に働けかせる効果がある。
赤血球中にある炭酸脱水素酵素で、炭酸ガスの運搬にあたる。
インスリンの合成を助ける
多くの酵素の補助因子となる。
味覚障害に有効
生殖能力障害に有効
欠乏症:前立腺肥大、味覚障害
多く含む食物:小麦胚芽、卵、レバー、かき、マスタード
各組織の損傷により修復のための栄養素
骨:カルシウム、ビタミンA、C、D、K、マグネシウム、脂肪、リン
靭帯:カルシウム、たんばく質、ビタミンC、グルコサミン
筋:ビタミンB2、6、12、D、葉酸、ピクノジュール、テアニン、たんばく質、炭水化物、リン、バリン、ロイシン、イソロイシン、クレチン
神経:カリウム、マグネシウム、銅、ビタミンB6,12、リン
軟骨:グルコサミン、コンドロイチン、ビタミンC、コラーゲン、MSM(メチルサニフォニルメタン)
椎間板:グルコサミン、コンドロイチン
内臓、臓器に対する栄養学的サポート
肺;マグネシウム、ビタミンC、P、A、D
心臓;ビタミンA、B、C、E、F、G、ドロマイト(カルシウム・マグネシウムを含む)、セレニウム、L-カルニチン、複合ビタミンB(特にリボフラビンB2、ナイアシンB3)、オメガⅢ脂肪酸、コエンザイムQ10、カルシウム
胃
ビタミンA:胃粘膜(皮膚および口、喉、胃、腸などの粘膜)の細胞分裂を正常に保つ。
ビタミンU(キャベジン):粘膜細胞への血流を促進し、胃酸を調節、粘膜補強により、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の発症の予防。
ビタミンB2(リボフラビン)、3(ナイアシン)、葉酸:腸管の細胞生成に関与、HCl産生の補助。
リノール酸:胃粘膜を丈夫にする働き。
アロエ・ベラ:アロエベラの果肉には胃酸を中和する作用、傷ついた胃壁を保護する作用、刺激や痛みを和らげる作用
膵臓
チアミン、ビタミンB4(アルギニン、シスチン)、B12、パントテン酸:消化酵素産生に必要
胃酸分泌促進による十二指腸内容物の酸度を高める。pH↓⇒膵臓消化酵素分泌↑
内分泌機能
クロム:インスリンと共に糖代謝を行う。
精製炭水化物摂取制限
肝臓、副腎機能の改善
胆嚢
ビタミンA、F:胆汁を軟化
レシチン(コリンを含む):胆汁の主成分;レシチン、胆汁酸塩、コレステロール
胆汁を軟化:胆汁酸塩(タウリン、グリシン、Cu)、レシチン
胆汁を硬化:コレステロール
ナイアシン、ナイアシノマイド、ベタイン、アスコルビン酸:胆管の問題がある場合、胆汁酸塩(タウリン、グリシン、Cu)が必要
コレステロールの制御、高コレステロール血症、脂肪肝
大腸細菌層の制御、大腸菌減少、ビフィズス菌、アシドフィルス菌の増加
肝臓
ビタミンA、F(必須脂肪酸 ω-6,3)タウリン、グリシン、レシチン:胆汁の軟化に必要
ナイアシン、ナイアシノマイド、ベタイン、アスコルビン酸:胆管の問題がある場合、胆汁酸塩(タウリン、グリシン、Cu)が必要
レシチン(コリン、リン):コリンは肝臓でのコレステロールからの胆汁の生成時に必要。
必須脂肪酸
ω-6脂肪酸:リノール酸、γ-リノレン酸、アラキドン酸
ω-3脂肪酸 :α-リノレン酸 、エイコサペンタエン酸 (EPA)、ドコサヘキサエン酸 (DHA)
大腸機能改善、腸内環境の酸性化(有機酸;クエン酸)
血糖値調整ストレス、副腎、膵臓機能
内分泌機能の改善
化学物質摂取制限:薬剤、漢方薬、食品添加剤、アルコール
小腸
ビタミンU(キャベジン):腸壁を修復するタンパク質の合成を促進。
グルタミンは消化管の粘膜成分であるムコ多糖類の生成を促進し、胃や腸を保護する作用がある。
NSAIDを避ける。:小腸粘膜病変を起こす可能性がある。
大腸
鉄分、ビタミンA・C・F、食物繊維、オート・ブラン 、ビフィズス菌、オリゴ糖、アシドフィルス菌
腸内環境の酸性化(有機酸;クエン酸)
食事指導:炭水化物摂取量減少、繊維性物質摂取量増加、腸内細菌層正常化
肝臓、胆嚢のコレステロール処理能力
腎臓;ビタミンA、C、E、K、マグネシウム、パセリ、ピーマン、緑色野菜、緑色の豆
膀胱;クランベリー、フォーミュラ、イソチオシアネート、カテキン、生キャベツ、ブロッコリー、緑茶
子宮;鉄分、良質たんばく質、ビタミンA、B12、C、E、桜草油
前立腺;野菜、果物、カロテノイド(なかでもリコペン)、ビタミンA、B6、C、E、セレン、イソプラボン、亜鉛、カリウム、桜草油、のこぎり草、クランベリージュース、チェリージュース
卵巣;ビタミンB1、カルシウム、食物繊維、鉄分
精巣;セレン、亜鉛、ビタミンE、コエンザイムQ10、大豆イソプラボン
副腎;ビタミンC(副腎代謝に不可欠)ビタミンA(副腎産生酵素の酸化を防ぐ)、E(アンドロゲン産生に不可欠、副腎皮質機能に関与)、F、K、亜鉛(ステロイドホルモン受容体の骨格を成す、下垂体機能低下)、ルチン、カルシウム、玄米、オレンジ
甲状腺;チロシン、ヨード、銅、高タンパク食、複合炭水化物を多く含むもの、低脂肪食、精糖類の含有量が低いもの、セレン、亜鉛、ベータカロチン、葉酸、ビタミンA、B2、B3、B6、C、E